「まりあ、ありがとう――」
静かな声でゆっくりと智樹さんが言う。
「俺と一緒に居てくれてありがとう。
君と一緒に居ると俺は救われた気持ちになる。
やっぱり俺は君と出会えて良かった。」
「私は何も…」
「抱きしめてもいいか?抱きしめるだけ――」
ベッドから起き上がり、戸惑いながらもそう言った智樹さんにこくんと頷く。
私に触れる智樹さんの指先がちょっぴり震えている。 触れられるのは、あの日以来初めてだった。
智樹さんが優しく優しく私を抱き寄せた。 胸に頬を寄せると、トクントクンと心臓の動く音が心地よく耳に響く。
私を抱き寄せたまま、智樹さんは何かを手の中に握らせる。
「智樹さん…?」
「プレゼント。」
ゆっくりと体を離し、見上げた先には出会った頃と同じ 優しく微笑むあなたの笑顔があった。
「プレゼント…?智樹さんの誕生日なのに変なの」
「まりあが今一番欲しい物を用意した。」



