【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~


ぶるりと震えが止まらなかった。

突然連れて来られて、母の生まれ育った生い立ちを知り、そして私だけが正当な後継者…?

そんな話にわかに信じがたい。 だって私はどちらかといえばお金に縁のない生活を送ってきた身だし、貧困層だったのだから。

だから今智樹さんからその話を聞いても頭の理解は追い付いていかない。

「でも……でも…あなた達は?
三兄弟なんでしょう?」

「俺はこの会社の社長という肩書を貰っている。いわば会社では春太さんの次に偉い人間にはなっている
建前上はな。
次男の朔夜も別会社のオーナーであり、三男の悠人も今は大学生だが、いずれかは横屋敷グループのどこかの会社に属するだろう」

「じゃあ…あなた達の誰かが後継者でもいいわけじゃあありませんか…。
つまりはあなた達も横屋敷家の血を引くものですよね?」

私の問いかけに智樹さんは小さく頭を振った。

「俺達は、違う…」

「え?」

「確かに俺達三人は横屋敷家の春太さんの養子に入っている。
けれど血の繋がりはない。
俺も朔夜も悠人も孤児院から引き取られた。親のいない子供だった。
それを小さな頃春太さんに引き取られ、横屋敷の人間になった。
そして春太さんは横屋敷グループも遺産も、あゆなさんの娘であるまりあにしか譲らないと言った。」