「じゃあ、どの兄弟なんですか。
でもとっても綺麗で可愛い。ずっと大切にしますね」
「別に…そんなのただの安物だ。」
「それでも嬉しい。 こんな風に誕生日プレゼントを貰うのは初めてだった気がする。
ずっと誕生日なんて嬉しいものなんかじゃなかったのに」
智樹さんから貰ったプレゼントは、心から嬉しかった。それは嘘ではない。
両手でぎゅっとアクアドームを握り締める私を見て、やっぱり智樹さんは切ない顔をする。
そっと私の頬に手を触れて、ゆっくりと撫でる。 智樹さんの中にはこんなに優しさがあるのに、どうして私にあんな事をするのか理解出来なかった。
憎まれているとばかり思ったのに…。
「そろそろ行こう。 全く馬鹿なプレゼントをした物だ。俺らしくもない。 そんなに大切そうにするな」
「でも…!本当に嬉しかったし、だからありがとうです!誕生日をお祝いしてくれるのもすっごく嬉しかったから…」
嬉しかったのと同時に、ふと朔夜さんの事を思い出した。
もうずっと会っていない。 私の誕生日なんてきっと知らないだろう。 それでも会いたいと思ってしまっているから、どうしたってこの気持ちは消えてくれそうもない。



