「可愛い…!これは、スノードーム?
ねぇ、智樹さんこれってスノードームでいいのでしょうか?
それともこれはアクアドーム?というかそんな代物はあるのでしょうか?」
「知るか。そんなのどっちでも良い。」
スノードームは雪だからスノードーム。
でもこれは、青い海だ。美しいサンゴ礁と中には、たった二匹の青と赤を纏ったネオンテトラ。
アクアリウムは雪の代わりに泡が静かに揺れている。
「でもやっぱりスノードーム? でもなぁー…やっぱりアクアドーム?」
「ふ。そんなのどっちでもいいだろう」
モヤモヤしながらスノーアクアドームを見つめ首を傾げていると、智樹さんは小さく笑った。
「でも二匹だけなんて寂しいですね」
「ネオンテトラは憶病な魚だ。適さない魚と一緒にされたらあっという間に捕食されてしまう。」
「へー、そうなんですねぇ。こんなに綺麗なのに。
じゃあこれは兄弟ですね。」
「そうだな、’キョウダイ’かもしれん」
「でもそれじゃあ一匹足りません。智樹さん達は三人兄弟だから」
ふいっと視線を逸らされて、智樹さんは目の前の水槽に目を落とす。
「その’キョウダイ’ではない」



