髪を梳いていた指先は頬にゆっくりと移動して、身を起こした朔夜さんの薄い唇が肌にゆっくりと触れる。
頬からゆっくりと首筋へと舌が動くと、まるでフラッシュバックしたようにあの日私を貫いた熱さを思い出した。 思わず首筋を押さえて、朔夜さんから体を離す。
「まりあ…?」
首筋を押さえた指先は震えていた。 まるで智樹さんにつけられたしるしを隠すように。
朔夜さんは私と智樹さんの間にあった事を知っている。それでも私を受け入れてくれようとしている。 だけど私は…まるで心と体がバラバラになった様にそこにあった痛みを熱を忘れられずにいる。
どうしてあの日、拒絶をしなかったのか。すんなりと受け入れてしまったのか…。
朔夜さんに対する気持ちが恋だと知った今、それをとても後悔している。 視線を僅かにずらした私に、朔夜さんは悲しい顔をした。
「ごめんな、いきなり。
それよりすっかり朝か。お腹空いたろう。ご飯でも作るよ。」
「それなら私が…!」
「料理出来ないじゃん。」
「確かに朔夜さんの方が上手でしょうけど…、作りたいの!」
「じゃあ、一緒に作ろう」



