「素敵…」
思わず口にすると、椅子に腰を掛ける智樹さんの頬が緩む。
「ありがとう。ここは俺の趣味の部屋みたいなもんだ。
心を落ち着かせたい時に来る」
「まるで水族館みたいですね」
ブルーライトだけで照らされた室内は幻想的だった。
「とりあえず座って、温まった?」
「はい。ありがとうございます」
「何が好きか分からないから、取り合えず水を用意させた。これでいい?」
「何でも大丈夫です…」
テーブルの上には透明の硝子で出来た美しい容器と、隣に二つグラスが並んでいる。
智樹さんはゆっくりとグラスへ水を入れると私の方へ差し出した。 何て一つ一つの所作が上品で美しい男性だろう。
差し出された水を口に含んだ所で、やっと喉がカラカラだった事に気が付いた。 無意識のうちに水を一気に飲み干してしまい、そんな私を見て智樹さんはにこりと微笑む。
そしてグラスにゆっくりと水を継ぎ足す。
「あ、ごめんなさい…」
「何も俺に謝る事はない。色々あって混乱している所だろう。説明もなしに申し訳ない。
お腹は空いていないかい?」



