こうやって誰かに自分の気持ちを伝えた事はあったのだろうか。 私は今まで、嫌だった事嬉しかった事、人の目を見て伝えるのを避けて来た気がする。

朔夜さんに人の目を見ないと指摘されるまで。

「私……こんな人生どうでもいいって思って生きて来た。
本当は誰かに愛して欲しかったのに、自分から諦めて…
だって流されて生きている方が楽だったから…。相手に自分の想いを伝えて、返ってくる答えが自分の思っていた事と違ったら…期待してた自分が馬鹿みたいに思えるから
そうやって今まで自分の想いを口にしなかった。 もしも私が色々な場面で素直になっていたら、相手だって変わってくれたのかもしれないのに…」

お母さんにきちんと想いを伝えれば良かった。

私の前を通り過ぎて行った人達に、悲しみも喜びも表現できていれば、未来は変わっていたのかもしれない。

分かっていたのに、しなかった。 する前から諦めていた。


けれど、あなたが真っ直ぐに私を見つめるから、絶対に私から目を逸らさないでいてくれたから。

厳しい言葉を投げかけてくれたのが、あなたで良かった。

「まぁ…いーよー…。お前がしたいように好きに生きれば…。
でもお前は横屋敷家から出ていくべきだ。」