「まりあ、横屋敷家から出ていけ」

だからハッキリと彼がそう言った時は耳を疑った。

「でも…
でもね、朔夜さん…。私、智樹さんに…」

「何も言わなくていい。 お前が俺を好きだというなら、何も持たずに俺の所に来ればいい。
俺の事なら心配する必要ねぇよ。 もしも横屋敷の家から除名されたとしても、生きて行く術はある。
お前は高認試験でも行きたい大学でも好きに行けばいい。
それくれーの金はある。」

「私…働きます!」

「だからいいって、それくれーの金はあるつってんだろ?
大体お前今までの人生自分の好きな事の一つも出来なかったんだから、少し位人に甘えろや」

「そういう事じゃなくて…。
確かに高認試験は受けたいと思うから、バイトしながらきちんと勉強もして…
大学云々はまずは高認試験が終わったら考えたいと思います。
全部誰かにお世話をしてもらうつもりは毛頭ないんです…」

「たくっ…甘え下手の女め…」

言葉にしなくても彼の思いやりは伝わって来た。だからこそそれに甘えてばかりの自分では嫌だと思った。

私は朔夜さんの目をきちんと見て、自分の気持ちを伝えた。