「まりあ様、智樹様には手帳を渡しておきました。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「本日はどこかへお出かけされますか?」
「祖父の病院にちょっと行ってこようと思ってます。
悠人さんに誘われて。 本当は断ろうかなと思ったんですけど、智樹さんも出張に行くと言ってましたし」
朔夜と会えるように、と悠人さんが時間を作ってくれた。
こんな事になった後では、朔夜さんと顔を合わせるのも気まずくはあるのだけど…。
会いたい。そう思ってしまった。 きっと朔夜さんは私が智樹さんに抱かれた事に勘付いているだろう。穢された。そう思う程に、元々綺麗な身体ではなかったけれど、それでも彼に会いたかった。
「まりあ様、少しいいですか?」
いつもは表情を余り変えない坂本さんが、少しだけふんわりと笑っていた。
洗面所に連れていかれ、椅子に座らされたかと思えば坂本さんは首元に温かい蒸しタオルを押し当てた。
鏡に映った自分を見つめると、首元に昨夜智樹さんにつけられた赤いキスマークの痕が見えた。
思わずカッとなり顔を伏せる。



