【完】囚われた水槽館~三人の御曹司からの甘美な誘愛~


ゆっくりと起き上がった智樹さんは虚ろな目をしていた。
そしてひんやりと冷たい両手を私の首へ掛ける。

「まりあを俺の物にしたいって言ったのは、嘘じゃないよ…。
この魚たちのように水槽の中に閉じ込めて、永遠に俺だけの物にしたい。」

「どうぞ…」

ゆっくりと私は目を閉じた。けれどその両手の力が入る事はなかった。

「冗談だよ…そんな事を本気にするな…
俺はもう寝る。眠たくって仕方がないんだ。ここで寝ても構わないか?」

「じゃあ私がゲストルームに移動します。」

立ち上がろうとする手を止められた。

そしてふわりと優しく智樹さんは私を包み込む。まるで愛しいものを抱きしめるように。

智樹さんの気持ちが全く分からないの。 あんな風に荒々しく私を抱いて、傷つけるだけの行為なのに

抱きしめる力は、こんなにも柔らかい。 私の事を道具としか思っていない、冷たい男なのに――

「まりあ、君を絶対に離さない」

うわ言のように私を抱いて、そう言った。 今まで聞いた中で一番悲しい声だった。