悠人さんからぽつりと訊いた。 智樹さんが会社の社長秘書の若い女性と関係を持っている事も
そんな事を訊いても、何も感じなかった。
私の体を自分の方に向かせて、智樹さんは苦しそうな顔をする。 そして私の体のあらゆる場所に自分の物だと証明するように赤いしるしをつけるのだ。
そんなしるしなんか付けなくっても、私は逃げたりしないのに…。
「まるで囚われた魚みたいだな…」
「え?」
「まりあだよ。どこにも自由になれずに
好きでもない男に強姦されて
それでも君はここを出ようとはしないだろう。
君はどこにも逃げれない。
付き合っている女なんかいない。あんなの、全部君の代わりだ。
君に吐き出せなかった欲求を彼女にぶつけていただけだ。」
私の事をあんなに冷たく乱暴に抱く癖に、傷ついた顔をしていたのは智樹さんの方だった。
舌を滑らせるように深いキスを落とす。
歯と舌を使い何度も私の口内を犯す。
「ん…んん…」
抱きしめる。きつくきつく。 愛のない行為だと分かっていながらも、何故ここまで執着するのだろう。
私はいい。もしも智樹さんと形だけの結婚をする事になっても。彼がそれを望むならば、それで朔夜さんを守れるなら。



