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「今日、悠人が来ていたって?坂本さんから聞いたが」
仕事が終わり、家に帰って来た智樹さんは少しだけ不機嫌だった。
と、いうかここに来たばかりの頃見せてくれた優しい笑顔は、もう私には向けられない。
私を初めて抱いた日から、すっかりと冷たくなってしまった。
「はい…ちょっと遊びに…」
「ふぅん、遊びにね…」
「智樹さん、坂本さんがお食事とお風呂の用意をしてくれているって言ってました。」
「ああ、飯はいらない。お腹が空いていないから。 お風呂に入った後、まりあの部屋に行く」
今日も、か……。
週の半分は、智樹さんは私を抱きに来る。
無理やりされたあの日から。 その行為に愛は一切感じられない。
恋人のような甘いムードはないし、優しい言葉も掛けられない。
智樹さんの抱き方は少し異常だった。 私へ痛みを与えたい、苦しみを与えたい、そしてそんな風に私を抱いている時の智樹さんの目は、冷徹でそして全てを支配している様で満足そうだった。
夜が来る事が、怖かった。 月明かりに照らされた窓を見つめ、はぁっと小さなため息が漏れる。



