「別れたいって言ったんだって。」
「別れ…」
「超綺麗な子だったんだよぉー…朔夜の会社の美容商品のモデルをしてる子でさぁー…」
普通って言ってたくせに、嘘つき。
「でもね、気になる女が出来たから別れたいって言ったんだって、朔夜はちょっとストレートすぎるんだよね。
もうちょっと言葉を選んで、綺麗に別れればいいのに
でも朔夜ってそういう人。’気になる女’がたとえ自分の物にならないって分かってても
別の女を想っている自分は、今の彼女とはもう付き合えないって、潔い人間なんだ。 その不器用さがたまにネックになるんだよね…」
「悠人さん、朔夜さんの気になる人って」
「まりあには、誰か分かってるんじゃないの?」
顔を上げて笑った悠人さんは、すっきりとしたような爽やかな笑顔を浮かべていた。
自惚れたくなんかないのに。あの不器用な優しさが自分だけに向けられた物だって勘違いしたくないのに。
いつだって現実は悲しくて、私を傷つけさせるだけだったのに…。
「俺はまりあがだーい好きなんだ!もち、横屋敷家の人間だからってそんな単純な事じゃなくってねー
まりあは素直で汚れた所がないから、俺にはすっごく眩しいし、守りたい存在!
大切な妹だと思ってる。…まだ出会って期間は短いけど」



