「明日はこれを着てくれ。合わせて白いヒールと、後まりあに似合いそうなネックレスを買って来た」
ベロアの宝石箱に入っていたのは、小さなひと粒ダイヤがついたネックレスだった。
私の長い髪を上げて、智樹さんが首にネックレスを通す。 鏡越し、やはり智樹さんは満足げに笑う。
「まりあは白が似合う」
破滅的なセンスをしている、と朔夜さんに言われた日を思い出した。
まりあはぼやけた色よりハッキリとした色が似合う、と言って深い海のような藍色のワンピースを取り出した
あの日の彼の顔ばかり脳裏を過る。白のドレスは肌触りが良く、清楚でありながらどこか大人っぽい雰囲気を纏っていた。 控えめだけど、良い代物だというのは素人目にもよく分かる。
「でも悪いです…。こんなに沢山買って貰っちゃって…」
「綺麗なまりあを沢山の人に見て欲しいんだ。」
そう言って、私を後ろから抱きしめる。 途端に智樹さんの香りが体を包み込んでいく。
「まりあ…」
「智樹さん…」
「朔夜と悠人とは大分仲良くなったようだな」
「はい…。二人共親切にしてくれています…」
「悠人も言っていた。妹が出来たみたいで、まりあは可愛いって。
それは別にいい。
けれど、朔夜ともやけに親密そうだな」



