「キムチ鍋っつーのは汗が止まらねぇ」
「私は汗を余りかかない体質なので」
「新陳代謝が悪ぃって事だろう。褒められた事じゃあねぇけどな。」
二人で作った三人分の鍋。全く汗をかきそうにない美しい容姿をしているくせに、朔夜さんは汗だくになって鍋をつつく。
朔夜さんは元々食が細いようで余り物を食べない人だけど、三人分の鍋はいつの間にか空っぽになっていた。
「まりあは結構物を食べるよな。
うちに初めて来た日も死のうとしたくせにご飯は人並み以上に食べてた。
あーいう時って普通食欲もねーもんじゃないかなって思う。」
「びっくりですよね。自分でも。
あんまりお腹空いたって感覚は昔からないんですけど、目の前に出されるとぺろりと平らげてしまいます。
意識はしていないんだけど、飢えてはいるんだから体って不思議ですよね。
ふぅ。それにしても美味しい。誰かと一緒にご飯を食べるのって美味しいですよね。」
「その感覚はいまいち分からん。一人で食べたって皆と食べたって味は変わらないだろう。
それより後片付けはしておく。 風呂に入れ。さっきお湯は張って置いた。
汗をかかねぇ代わりにどーせ寒がりだろう。ゆっくり温まれ」



