目が見れない理由は怖いからとかそういうんじゃない。気まずくて目を逸らすのと違う。
意識をしている。…私、朔夜さんを意識している。
その想いをかき消すように話を変えた。
「悠人さん遅いですね…」
「あいつ何やってんだろうな。自分から企画したくせに
電話してみっか」
そんな事はどうでも良かった。
立ち上がった朔夜さんは私に背を向けて電話をしている。
意識なんてしている顔なんて、見られたくない。 先ほど触れられた頬を自分の手で触ってみたら、自分が思っている以上に熱を帯びていた。
指に伝わるその熱が、何故か切ない。
「はぁ?!
お前…自分が企画したのに来れないって。
もう用意とか全部済ませてんだけど。 交通機関?んなの知らねーよ、車でも飛ばして来いよ。
おい、悠人」
「どうしたの…?」
電話を切って、深くため息を吐く。
「何か悠人来れないって。
つーか雪で交通機関が止まってるらしくって。
うわぁ、マジかよ。ネットニュースにもなってやがる。 朝方の予報ではそこまで降らないって言ってたのに…」
携帯を見て、うんざりしたように再び大きなため息を吐く。
私も携帯を見ると、ネットニュースには雪の影響で都内の交通がストップしていると出ている。



