「悠人さんの彼女さん達も綺麗だった。 きっと朔夜さんの彼女も綺麗なんだろうな」
この人達に会って、作り笑顔をするのは初めてだった。 そして自然に笑えるようになっていた自分に驚いた。
「別に普通だって。
彼女つっても付き合ってるか付き合ってないか微妙な感じだし。
俺そういうの苦手なんだよ。誰かと契約を結んで関係を築いてるみたいで。
だから悠人はある意味尊敬するけどな。 それよりお前、何つー顔。変な顔。」
煙草の火を消し、こちらへ身を乗り出した朔夜さんは私の頬をぎゅっと引っ張った。
「ッ…!」
「んだよ、別にもう襲いやしねーよー。」
素っ気なく直ぐに手は離された。
智樹さんに手を握られ、キスを落とされた時もドキドキした。
けれどそれとはちょっと違う。明らかに気持ちが動揺していた。 掴まれた先から熱が産まれて、そこからじわじわと広がっていく様な不思議な感覚。
それがやがて自分の体を侵食していくのだろうか。
「何だよ、じろじろ見つめやがって」
「別に…」
「あ、また目逸らした。 お前いつまで経ってもそーゆー所は変わらんな。
きちんと人と話すときは目を見ろ。」



