蓮見の体温が、まだ俺の胸もとに残っている。



 大好きな声も。
 
 吸い込むと癒される蓮見の香りも。

 まだ、俺の脳に焼き付けられている。



 きっと蓮見の残像が消えた時、
 一気に襲われるんだろうな。


 完全に終わってしまった、
 俺の初恋の苦しみに。




 このまま楽屋にいたら、涙腺が緩みそうで。

 誰かに声をかけられたら、一気に涙が溢れそうで。



 俺は痛みを感じるほど唇を噛んで。

 バックに荷物を詰め込むと、楽屋から逃げ出した。