「約束破っちゃって……
 ごめんね……」



「……意味わかんねぇし」



 俺は玄関の外に出た。



「じゃあな」



 不愛想につぶやいた俺の言葉に

 涙色の声が弱々しく重なった。



「マトイのこと……
 好きになっちゃって……

 ごめんね……」




 えっ?



 泣きじゃくる蓮見の口から漏れた、
 予想外の言葉。



 俺は、ただ固まるしかできなくて。


 バタリと閉まったドアが

 俺と蓮見の関係を断つ
 残酷な壁に見えた。