しばらくして
 ゆっくりと開いたドア。



 うつむきながら
 苦しそうに顔をゆがめる蓮見は、
 肩を震わせている。



「来ないでって……言ったのに……」



「寒いから、中に入れろよな」



「やだ……」



「俺に風邪ひかせたいわけ?
 元マネージャーとして
 どうかと思うけど」




 何言ってんだよ、俺。

 こんな時まで
 きつい言葉ぶつけてんじゃねぇよ。

  

 自分に文句を言っても

 18年間築かれた俺の性格なんて
 簡単には変えられねぇ。



「入れば……」



 蓮見の瞳は、今までさんざん
 泣いていましたってくらい真っ赤で。


 今すぐ抱きしめてあげたいくらい、
 痛々しい。