上手く逃げられたはずだったのに…
「…なんでついてくるわけ?」
「ん?だって俺も家こっちだし」
澪とテツさんを置いて奴は私についてきた。
「俺が誘おうと思ってた試合にまさか来てたなんてな~!
しかも澪の親友だったとは、世間狭いなほんと。
あ!あの時言ってた"私の親友がそれで幸せそうだから"ってやつ、澪のことだろ?」
「…別に誰でもいいでしょ」
県のNo.1セッターは頭もきれるらしく、全てバレてしまった。
そうだよなんて肯定しないのはせめてもの抵抗。
なんでもこいつの思い通りになるなんて嫌だから。
「…なぁ、俺の試合観てどうだった?」
ねぇ、どうしてそう答えたくないことを聞いてくるの?
「…別になんとも。バレー詳しくないから分かんないし」



