ついに梅雨になった。傘をもって弾かれた水がよく耳に残る。

「君の幸せは見つかった?」

今はいない彼にそう、に問われた気がした。

「ううん。まだわからない。けれど、私が幸せだと思える瞬間はちゃんとあるってことは分かったよ。」

いつかあなたが言ってくれた私が思う幸せについて少しは気づくことが出来たんだよ。

梅雨に入った今、私の心だけはちょうど梅雨明けを迎えたようだった。