家に帰って来た私は
明日勇樹と一緒に静岡に帰る為に
荷造りをしていた



「………」
(これでいい……これでいいんだ…)


「……ッ…」
(私と勇樹が結婚するように…
マスターは絵里さんと結婚する…ただそれだけだ…)




「ただいま」

「………」




黙々と荷造りしている私の手を勇樹が握りしめる




「あ、ごめん、気付かなかった、おかえり勇樹」


「………」


そっと私の顔を覗く勇樹に
満面の笑みを作り上げ話し続ける私


「明日楽しみだね!
勇樹は静岡行った事ある?」


「……ッ…前に何回か行った事あるかな…」



この時の私はその場を誤魔化す事が精一杯で
勇樹の異変に気付かなかった


「…ッ…麻耶…」