家の明かりはまだついていない



家に帰る気分でもなかった私は『statice』とは反対側の道へと歩き始めた




(あっちにはマスターとの思い出がいっぱいありすぎる…)




「大川さんッ」




真っ正面から黒いコートを着た女性が私の名前を呼びながら歩いてくる




(あれは…)
「深瀬……さん」



勇樹との写真を送って来た元先輩の深瀬さん




「大川さん…話があるの。
お茶でもしない?」



「………」




勇樹の事、それからあの”悪夢”に
関係していた事もあり私は戸惑った





(…嫌だな…、でも、私自身が逃げちゃだめなんだ…)

「はい…」




私は意を決して深瀬さんと
駅近くにあるカフェに行く事にした