「沙織!おはよう!」 わたしがいたことに気づいたらしく、彼はグラウンドから大きく手を振っている。 「え、なにあれ?」 「もしかして彼女とか?」 「ええ、でも全然かわいくなくない?」 それとともに、そんな声が聞こえてくる。 思わず耳をふさぎたくなる。 せっかくの楽しい高校生活がこんなことで崩れたくなんてない。 ああ、わたし今、茅野先輩と付き合ったことを少しだけ後悔した。 そんな自分に嫌気がさした。