──────── 「沙織なんかおかしかったよね」 「うん。お昼休みもずっとぼーっとしててさ」 「朝のことまだ気にしてたんかな」 「うーん、どうなんだろう。なにも教えてくれなかったんだよね」 「沙織に変なことがなにも起こらないといいけどな」 わたしが走り去っていったあとの教室で弥生と凌がそんな会話をしていたことなんて知る由もなく、わたしは重い扉をあけた。 ────────