「もしかして今日入学?おめでと!」 新たな声がしてわたしはもう1人いたということに気づき、咄嗟に後ろに下がった。 危うく彼の目に吸い込まれそうだった。 「あ、はい。ありがとうございます。・・・失礼します」 ぺこり。頭を下げて急いでその場を去った。 友達と話していた時はちょっと冷たい口調だったのに、わたしにはとても優しかった。 そしてあの手。 優しくて暖かかった。 わたしはあの一瞬で彼────優に恋をした。