10日間の奇跡




「もしかして今日入学?おめでと!」

新たな声がしてわたしはもう1人いたということに気づき、咄嗟に後ろに下がった。

危うく彼の目に吸い込まれそうだった。


「あ、はい。ありがとうございます。・・・失礼します」


ぺこり。頭を下げて急いでその場を去った。


友達と話していた時はちょっと冷たい口調だったのに、わたしにはとても優しかった。

そしてあの手。

優しくて暖かかった。

わたしはあの一瞬で彼────優に恋をした。