「沙織」

弥生に呼ばれてつっぷしていた体を起こす。

わたしの授業態度はきっと最低最悪だ。



そう思いながら弥生が顔を向けた先にわたしも顔を向ける。


「・・・優・・」

そこにはドアによっかかっている優の姿が。

その姿をみたとき自然と涙が頬を伝った。


いつも学校から帰るときわたしを待っていてくれた優を思い出して。


時計をみると3限目が終わったあたり。

そのはずなのに優の手にはかばんがあった。

そしてそこから手招きをしている。


「沙織いってきなよ。がんばれ」

弥生はすべてをわかったように机にかかっていた鞄をとって、わたしに手渡した。


「先生にもうまくいっておくから」

その言葉に背中を押されてわたしは優のもとへと走った。