「どうして・・・?」

わたしだけがおかしいんじゃない。

お母さんと茅野さんだって再婚していないし、茅野さんは子供はいないといった。

弥生と凌も、他の学校の人たちも、みんな優のこと知らなかった。


この1年過ごした記憶がなくなったと同時に、優はいなくなった存在になっていた。



「大丈夫だよ」

「・・・」

「なにも変わらない」

「どういうこと?」

「最後の日に話す。だからもう少しだけ待ってて」

「・・・最後の日ってなに?優はいなくならないよね?」

「ごめん」


優はそれだけいうと背を向けてしまった。

追いかけたい、そう思ったのに足がでない。


この前までは優の姿がはっきりとみえていたはずなのに、ぽわーんと何かに包まれたように、優の姿がみえなくなった。


それが何の意味をしめしているのか、わたしは知りたくなかった。