すると彼女は微笑んでから、

「それならアディオスじゃなくて、
 アスタ ルエゴね」

と言って振り返り、語学書の棚の前を去った。





僕は彼女の残した香水の匂いに鼻の粘膜を刺激され、
25回目のくしゃみをしてから、

アディオスと彼女の言うアスタ ルエゴの違いを学ぶべく、
スペイン語のテキストをその場で広げた。