私は一人じゃなかった。
一人じゃなかったんだ。
どうして、気付けなかったのだろう。
隣に大切な人がいるというのに。
どうして忘れていたのだろう。
一人ぼっちでも生きていけるって、
自分の世界に生きればいいって、
強がれるのは、
まだあなたが隣にいてくれるから。
本当に私が一人だったら、
一人で強がることも、
意地を張ることもできないだろう。
あなたは一人じゃない、とか、
そんな言葉は、
ずっと綺麗事の嘘っぱちだと思っていた。
そんなのは本当の孤独も
疎外感も知らない人が言うような、
薄っぺらな言葉だと思っていた。
でも、今ならその言葉の意味も、
重みも分かる気がする。
そう、私は一人じゃなかった。
一人じゃなかったんだ。
だから、ずっと隣にいてもいいかな。
別れの日がくるその時までは、
ずっと、隣にいてもいいかな。
一緒にいられる時間は永遠じゃない。
だから、隣にいたいんだ。
失なわなきゃ、その大切さに、
その存在の大きさに気付けないなんて、
嫌だから。
そう、私は一人じゃなかった。
一人じゃなかったんだ。