―――ズルッ 途端に無くなる地面の感覚。 『え?』なんて思ったのも、ほんの一瞬で。 もう1回地面の感覚を感じた時には、目の前を砂埃が舞っていた。 ―…これ…落とし穴? いまいち自分の置かれた状況が分からなくて私はポカーンとすることしか出来ない。 「あーあ…嵌まったか…」 その声に顔を上げると、そこには佐野くんの姿があった。 佐野くんはこんな時でも、やっぱりフェンス越し。 私が困ってても絶対に助けてはくれないの。 だって自分がよければそれでいいんだもん。 .