君中毒-Another Stories-




飼育小屋のドアが音を立てて閉まるのが分かる。


頭がついていかずにポカーンとすることしか出来ない私。



………今のなに?



まんがとかドラマであるようなシーンが…目の前で展開されたよ?


唇と唇がくっついて…



「――…////!?」



気付いた時には、私は水道まで走っていた。


乱暴に蛇口をひねると、勢いよく吹き出した水。


それを手で掬い上げて、懸命に唇を洗った。


…こんなことで過去は消せないって本当は分かってる。



……でも…でも…


私のこと好きって何!?


どうせからかってるくせに…


私は…佐野くんなんか大嫌いなのに!




.