輝一たちは、無言で僕を見つめる。

「……迷惑じゃない。冬都は、自分で思っている以上に素敵な人間です。それに……僕たちには冬都が必要な存在なんです!」

「……」

アイビーの言葉に、僕は何も言えなくなって俯いた。僕が必要……?嘘だ……。

「……喋りたくないなら、喋らなくてもいいよ」

顔を上げると、大智は優しく微笑んだ。

「僕にそんな優しい言葉を……笑顔を向けないで……」

「……冬都……何があったのか分からないけど、これだけは分かったよ……辛かったんだね。頑張った」

輝一に抱き締められて、僕は気が付いたら頬に涙が伝っていた。

……あれ?僕……泣けなかったはずなのに……。

僕は、幼い頃から感情を押さえ込みすぎたせいか、泣けなくなってしまったんだ。

「……どうして、僕はこんなに最低な人間なんだろう……何で僕だけがこんな思いをしなくちゃならないの?」

昔の記憶が、連鎖反応のように思い出されてく。両親から怒られてばっかだったこと、友達を傷つけてしまったこと、悪口を言われたこと、苦しみを誰にも理解されなかったことなど……。

「僕は……僕は、誰かに愛されたかっただけなのに……存在を認めてもらいたかっただけなのに……」

僕は、幼い頃からずっと両親から怒られてばかりで、褒められることがなかった。