冷たい風が吹いて、僕が手に持ってた小さな紙が飛んでいく。

「……」

その紙を追いかけるように空を見上げると、僕の視界を1羽の鳥が横切った。

その鳥は、空高く飛び上がってどこかへと飛んでいく。

「……鳥になりたい」

鳥になれたら、この苦しい生活から逃げれる。僕は、魔法が使えるから空を飛べるんだけど……でも、魔法は使いたくない。

また悪口を言われるかもしれないじゃん……。嫌だ。

「……ん?」

道端に本らしきものが落ちてて、僕はそれを拾った。雪が積もってたから、素手で雪を払う。

「これは……?」

本の表紙には、魔法円が描かれてた。僕は、本を開いてみる。

「……っ!」

その時、本が空中に浮いて光り始めた。僕は、ただそれを見つめることしか出来ない。

僕の体が、本に引き寄せられるような感覚がした瞬間、僕の意識は途切れた。



僕が目を覚ますと、どこかのベットで横になってた。……ここは……?

「……あれ」

視界に入った、小さな鏡に映った僕の姿を見て、僕は思わず声を出してしまった。僕は、いつの間にか黒いローブを着ていたんだ。

「……気が付いた?」

僕の方を向いた黒髪に黄色の目をした男の子が、にこりと笑う。