あたしは柊柚子(ひいらぎゆず)。造園家として働き、男みたいな性格だとよく周りから言われるんだ。こんなあたしが恋愛なんて、縁がないものだとずっと思ってたよ。

「柚子、休憩にしよう」

あたしが木に登って作業をしていると、同じく造園家のおじいちゃんが声をかけてくる。もうそんな時間なんだ。

「わかった!すぐ行くね!」

あたしは器用に木から降りる。六メートルくらいの高さを登っていたんだ。降りるのが大変……。

「柚子〜!チョコレート食べるか?」

「食べる!だからあたしの分まで食べないでよ、お父さん!」

先に座って休憩していたお父さんは、依頼してくれた家の人が出してくれたお茶とチョコレートを食べている。この家の人は会社の社長さんらしい。だからか、出されているチョコレートはスーパーで売っているものよりはるかに高いものだ。

「こんな高いチョコレート、初めて食べる……」

あたしがそう呟きチョコレートを食べようとした刹那、あたしの目の前にそっと誰かが目隠しをした。