シュンの恋外伝1

バレンタイン編5話


(あっ、あの子は…)

リエは園芸倉庫の裏にある木陰に四つん這いになり隠れていた。


シュンは園芸倉庫の南側の角を曲がり待ち合わせ場所に到着した。

そこには、見覚えのある女の子がモジモジとしながら下を向いていた。


その頃山田は、校内を微妙に早歩きでリエを探していた。

(ヤベェ〜リエさん何処に行ったのかなぁ〜)

山田は、シュンとの約束を守る為に少し焦りながら探していた。


「ハァ〜ハァ〜」

メグミは園芸倉庫の北側に着いた。

「あっ!あれは!」

メグミは園芸倉庫の裏側にある木陰にセーラー服のお尻の部分がはみ出ているのを見つけた。

そう、リエは四つん這いになって隠れているのだが、お尻がはみ出て北側から見えている事には気付いていなかった。

(あの、お尻は…)

メグミは、そっと近いた。

(あっ!やっぱりリエだ!)



シュンは、見覚えのある女の子に声をかけ様とした。


女の子の友人はゆっくり離れて行った。

「あっ、アタシは少し離れているからね、ユミ頑張ってね〜」


女の子は、恥ずかしそうにシュンを見た。

(この子はユミちゃんと言うのか)


シュンはユミに近いた。



(来た来た来た来た…)
リエは期待に胸に弾ませた。

メグミはそっとリエの背後に近いている、そのとき小さな小枝を踏んだ。

『パチッ♪』

『!』

リエは、小枝の折れる音に少しビックリして振り向いた。

「あっ!」

リエは、メグミに気付き小さく声を上げた。

(なっ、何故メグがくるのよ!)

リエはビックリしたが人差し指を口の前にあてメグミに向かって「シ〜〜!」と言った。

メグミはリエに近づいた。

「なにしてんの?」

メグミは小さな声でリエに尋ねた。

「あっ、あのね…」

「何故そんな格好してるの?」

リエは、諦めてシュン達がいる方向を指差した。

「あっ!」

メグミは小さな声を上げた。

(なっ、何してんのよ!シュン君は!)

「シ〜〜」

リエは再び口の前に人差し指をあてた。

「シュン君が、お呼び出しされたのよ」

リエは小さい声でメグミに説明した。

「お呼び出しって…」

(だからかぁ〜)

「そう、お呼び出し」

「だから、今日は変な顔してたんだぁ〜」

リエが膝をついてシュンとユミの方を見た。

メグミはリエの後ろから肩に両手をあてシュンとユミの様子を伺う事にした。




シュンはユミの正面に立ち優しく話し出した。

「キミが下駄箱に手紙を入れた子かな…」


「はい、シュン先輩…」

ユミは震える声で答えた。


シュンは、見覚えはあるのだが、この女の子と話した記憶がなかった。


(始まった始まった、あははははは)

リエは、少し不気味な笑みを浮かべながらシュン達を見ている。

メグミも黙って見ている。
(誰よ、あの子…)

ユミは、シュンを見上げながら、話し出した。

「シュン先輩、あの〜アタシの事覚えていますか?」

「あ〜と・・・・」
(誰だっけ…)

「あの〜去年の体育祭の時に助けていただいた上野ユミです。」

「あ〜去年の体育祭の時ねぇ〜」
(う〜ん…)

「はい、アタシが転んで膝を怪我して、その…」

「あっ、あ〜あの時の〜」

「はい、その〜お姫様抱っこで運んでもらって〜〜」


『ギュッ!』
(なんですって〜お姫様抱っこですって〜)
メグミはリエの肩に乗せている両手に力が入った。

リエは肩に痛みを感じた。
(メグ落ち着け〜落ち着け〜)
リエは片目を瞑りながらシュンとユミの会話に集中した。


「……」

シュンは黙ってユミの話しを聞いている。


「ふぅ〜」

ユミは、震える声で話を続けた。

「シュン先輩がメグミ先輩と付き合っているのはしっています。」

「……」

「でも、あの時…あの時…お姫様抱っこされた時から…あ〜何か…シュン先輩って優しいなぁ〜て」


『ギィッ!』
更に手に力が入るメグミだった。

「あっ!ッ〜ゥ〜」
リエは肩に乗せているメグミの手を優しく叩いた。
『ペシ!ペシ!』

「あっ、ゴメン」
メグミは小さな声で謝った。


「あの時は凄く恥ずかしくて痛くて〜」
(だって皆んなの前でお姫様抱っこだよ)

「……」

「ちゃんとお礼も言えなくて〜」

「いや、お礼なんて…」

「あの、その時から…凄く気になって〜」

「……」

「だから〜」

『ギュッ!』
そこまで言ったユミがシュンに抱きついた。

シュンは、一瞬ビックリしたが後ろに倒れない様に踏ん張ってユミを支えた。
(うっ!腰が……あっ、でも柔らかいなぁ〜)

そしてユミがシュンの胸に頬を当てて言った。


「好きです‼︎シュン先輩!」



ユミが告白した次の瞬間メグミは木陰から飛び出した。


「シュン先輩メグミさんと別れて私と付き合ってください」

と、言い切る前にメグミが叫びながシュンとユミに近づいてきた。

「なっ、何やってんのよ〜」

リエも木陰から出てきた。
(あはは・・・面白いわ〜もう最高)

シュンはビックリしてユミの両肩に手を当て体から少しはなした。
(なっ、何でメグミが……)

メグミはスタスタとシュンの前に歩み寄った。

ユミはシュンの横側に移動した。


『パン♪パン♪パン♪』

次の瞬間メグミの超高速3連ビンタがシュンの頬をとらえた。

「あっ、痛ぁ〜」

「どう言うつもり」

「いや、だから…最初から…断るつもりでいたんだけど……」

「……」
メグミは真っ赤になって睨んでいる。

「だから、聞いてくれメグミそしてユミさん

「……」

メグミとユミは黙ってシュンを見た。

「ユミさん、気持ちは凄く嬉しい」

「ハァ〜嬉しいの」

「だから、黙って聞いてくれメグミ」

「……」

シュンは優しくメグミを見ながら話す。
「でも、俺はメグミの事が好き、だから……」

(もう、人前で好きだなんて〜)
メグミは更に赤くなった。


シュンはユミの方を向いて優しく話す。

「だから、俺は、ユミさんの気持ちには答えられない。」

ユミは下を向いて黙ってしまった。

リエは、いつの間にかシュンの斜め後ろまで近いていた。


(ここなら良く聞こえるかな)


「メグミ…心配かけてゴメン!そしてユミさん…告白してくれてありがとう…付き合う事は出来ないけど…困った事があったら力になるよ!ただしメグミの許可を得てからね」

シュンの頬が赤く腫れてきたのを見てユミが少し笑った。

「ちょっと〜アタシの許可ってね〜」

メグミは少し頬を膨らませながらシュンに言った。

「あの〜」

ユミがシュンとメグミに聞いた。

「あの〜シュン先輩って〜メグミさんの尻に敷かれてます?」

「………」
(うん、うん)
シュンは頬を押さえながら微妙に頷いた。


メグミは、優しくユミを睨んだ。
(あっ、超怖いんですけど)

(あははははは・・・もう、最高〜)
リエは何故か腰をフリフリしていた。


そして、シュンはメグミの両肩に手を当てて


「メグミ、ゴメン!」

「シュン君…痛かった?」

(痛いに決まっているだろ)

「大丈夫だよ」

(本当は大丈夫じゃないけど)

「浮気するかと思った…」

「馬鹿だなぁ〜」

「だって〜」


ユミとリエはシュンとメグミの、こんな会話を目の前で聞かされてアホらしくなってきた。

いつの間にかリエはユミの手を引いて優しくユミに言った。

「戻ろうか……ユミちゃん」

「…そうですね〜」


リエとユミは二人を放置して校舎に向かった。

「ユミちゃん」

「はい、リエ先輩」

「詳しく教えてくれない?」

「え〜〜」


メグミは、優しくシュンの頬を摩りながら聞いてきた。

「どうしてコソコソしたの?」

「いや〜」

「夕方ちゃんと説明してね」

「・・・・」

「し・て・ね・♡」

「はい!」

「よろしい」



・・・・終わり・・・・