チラッと優香の方を見ると、美苑芹が言っていた人であろう恭夜と言う人が優香を抱きしめていた。

 「はいはーい、僕は加賀美汐梨だよ!」
 
 突然、手を挙げて自己紹介をしだした。

 よろしく!そう言って笑った加賀美汐梨は、美少女だった。

 「俺は佐城渚だよ〜」

 色気ダダ漏れで微笑む佐城渚の瞳は、冷え切っている。

 よろしくするつもりないんだけどな。

 心の中で溜息をついてから、もう一度彼らを見た。

 「優香さんとはどこで?」

 一種の牽制だろうか。

 鋭い眼光には似つかない柔らかな笑みを浮かべ、私に探りを入れているようだ。

 胸糞悪いったらありゃしない。