今宵、キミが砕け散る


 優しく、囁くように言う。

 「俺は、2年も一緒にいてお前のことを何も知らない」

 俺だって、宵にいつも大事なことを言っていない。

「過去に何があったのかも、宵の家族とかはどうしたのかもどうしてあの日、あそこにいたのかも」

 あの日、初めて宵に会った日。

 傷を体中につけて、自販機の後ろで蹲っていた宵を。

「なんで、そんな目をしているのかも」

 そうだ。

 俺たちはお互いに、何も知らない。

 最初は、それでも良いと思った。

 「教えてくれよ」

 でも今は、俺に何か出来ることがあるんじゃないかって思うんだ。