「はっ、」 こめかみを汗が伝う。 身体が震えて息が上手く出来ない。 「さいあく……」 いつまで経っても、私はあの日々から抜け出せない。 『アイシテル』 嗚呼、いらない。 あんたの愛なんて、求めてない。 『可愛いよ、宵。これで全部、僕のものだ』 気持ち悪くてたまらない。 憎くて、たまらない。 「宵、そろそろ……宵⁉︎」 嶺緒の声が聞こえる。 焦ったような声が、でも私は私の体をどうすることもできない。