今宵、キミが砕け散る



 甘く囁くような声色に、鼓膜が震えた。


 「俺も、宵に逢えてよかった」


 愛しいと言っているような目に、酔ってしまいそうになる。


 「だから……」


 その後の言葉は続かなかった。


 「行こうか。遅くなっちゃったからね」


 いつも通りな星に呆然としていると、離れた手をもう一度握られた。


 え、結局なんでキスしたん??


 そんな私の疑問に気づいた星は、ゆるりと口角をあげて、意味深に笑った。


 (覚悟、しといて)


 彼が密かに決意していたことを、私は知らない。