世の中には知らない方がいいこともあるというけれど。


 キミのことを、宵を知りたくてたまらない。


 それでも俺は、まだ……。


 「そっか……」


 離れていってしまうことを恐れて、まだキミに踏み込めない。


 キミの心に、触れられない。


 「私、星に逢えてよかったよ」


 あの女の声を、匂いを、温もりを……塗り替えるように、宵は俺を抱きしめた。


 「よかった……」


 言葉を噛み締める。


 あの日、あの時、枯れるほどに泣いたはずなのに、涙が頬をつたった。