「大丈夫。いつでも話を聞くから」

そう言って笑う彼は、あたしのことをツンツンする妹みたいにしかきっと見てない。普段ツンツンしている女の子がちょっと甘えているのよ?気付いてくれてもいいじゃない!

そんなことをしていると、外がだんだん賑やかになってきた。時計を見れば八時過ぎで生徒たちが登校してくる時間だ。もうすぐ二人きりの時間も終わる。

「アリス、大丈夫?」

そう言って心配するウィリアムがムカついて、あたしは「あんたね……」と低い声で言いながらネクタイを掴む。

「えっ!?アリス!?」

もう一気にやってしまえ、とあたしの中で固まっていた意地がバラバラになった。あたしはネクタイをグイッと自分の方に引き寄せて、ウィリアムにキスをする。

「んっ……」

初めてのキスはとても不思議。ずっと重ねていたいほどドキドキしている。でももう息が限界……。

あたしがウィリアムから離れると、ウィリアムは息を整えながらあたしを見ていた。その顔は真っ赤。

「気付け、バカ!」

あたしはそう言い、教室から走り去った。