優しすぎるウィリアムの歌声に、あたしの心は知らず知らずのうちに揺さぶられていた。だって気付いたらあたしは泣いていて、ウィリアムに優しく微笑まれていたから。

「ち、違ッ!これはゴミが目に入って……」

そう言い涙を乱暴に拭おうとするあたしの手が掴まれる。ウィリアムは自分の持っているハンカチであたしの涙を拭ってくれた。

「目、擦ると腫れちゃうよ。せっかく綺麗な緑の目なんだから」

ウィリアムにそう言われ、あたしは俯く。こんなあたしに優しくしてくれた人なんてこの人以外にいるのかしら?きっといない。そんな人にもこんな態度を取り続けていいの?

ウィリアムを見れば相変わらず優しい顔。そんな顔を見ていると、ふと思うんだ。明日も同じあたしがいるのかなって。無愛想で可愛くないあたしが。

あたしは緊張しながらウィリアムの着ている制服のシャツを掴む。ウィリアムは一瞬驚いた顔をしたものの、優しく頭を撫でるだけだ。その頬はあたしとは違って赤くない。