私は森の支配人

────────ちょっとまて


「………ここは、どこだ。私は死んだはず」


確かにここで首を吊ったんだ。縄も切れた気配はなかった。それに───────


「なんだここ」


明らかに知らない所。こんな動物も見たことがない。そして何よりこの森…………木がでかすぎる。いや、木だけじゃない。ここにあるもの全てがでかい。








────────『ようやくお目覚めですか？』


──白い髪を後ろで括っている若い男性。糸目で感情が読めない。


「………だれ」


『ふふっ。そんなに怖い顔をしないでください。私は森神。セピアと申します』


「セピア…………森神？」


『困惑するのも無理はないですね。神崎 真奈美さん。貴方はまだ生きているんですよ。……まぁ、正確には………………転生、ですかね』


「転生？」


『えぇ。元の記憶を持ったまま、違う世界に産まれること………でしたっけ』


でしたっけ……って…。おいおい……。


「…………はぁ。なんで私なんですか。興味ないんですけど」


『うーん。でもあなたは…………未練がおありになる』


「未練？」


『はい。えぇっと…何でしたっけ？……あぁ確か…………【恋愛】』


「！！！いや………まぁ確かに……うぅ。で、でも…！私は自分で死にました。それなのに、そんな大した未練があるはずがない。だから早く、もう一回死なせて」


『………うーん。それは出来ませんねぇ』


「は？なんで。言ってるでしょ？私には未練なんて………！」


『いいえ？あろうが無かろうが、貴女を殺すことは出ません。』


「なんで！」


『………貴方は、森の支配人に選ばれました』


「森の………支配人？」


『えぇ。これは既に神々の了承を得たもの。覆すことは出来ません』


「なんでそんな勝手に！」


『それは…………自分で考える事ですね』


「ちょっと！まってよ！どこ行くの！話はまだ……！」


『…………では支配人様。貴方に栄光があらんことを』


「……！！」







…………消えた………。なに、なんなの。どうすればいいの……。


それに……森の支配人……って。一体なんの事なの……。