「あ、ありがとうございました。……いろいろ。」




「どういたしまして。それよりさ……」





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そんなことがありまして、竹島くんが洸夜のところまで連れてきてくれたのです。






「それより、本当に大丈夫なのか?なにもされてないんだよな?」





「う、うん。でも……」





やっぱり、さっきの子に痛い思いをさせてしまったんじゃないかって、思う。竹島くんの動画によって、それは事実ではないと証明されたんだけど、写りが悪かっただけで実は本当に当たってたら……って思ってしまう。





そんな私の心中を察してか、洸夜は頭を撫でてくれた。





「乃々花、心配しなくていい。あいつらには、俺がいろいろ聞いておくから。」





「うん……」





竹島くんが洸夜にも事情を説明してくれたから、洸夜は私の心配をしてくれる。嬉しいけど……大事な本番前にこんなことになっちゃって、申し訳ない。





「乃々花、大丈夫だから。」





いまだに顔色が晴れない私を心配して、洸夜は抱きしめてくれる。……この、大切な暖かいぬくもりが、いつまでも離れてほしくない。





「……私、洸夜とずっと一緒にいたいよ…」




「俺も。絶対離さないから。俺が、乃々花以上に大切に思える人はいないから。」





落ち着くぬくもり。安心させてくれる、洸夜の手。





「これから先、俺から離れられると思うなよ?」





ちょっと強引、でも全然嫌じゃない。優しくて、みんなから好かれてて、宝物みたいに私に接してくれる洸夜。




その行動に時々びっくりして恥ずかしいけど、1番に込み上げるのは、嬉しさ。





「乃々花、こっち向いて?」




洸夜の胸に埋めていた顔を上げ、見上げる。だんだんと、洸夜の顔が近づく。





そして、ゆっくりと唇が重なった。甘く、とろけちゃいそうな感覚に、頭がクラクラする。





「乃々花は俺の。」





ようやく離れた唇。そして紡がれた言葉は、私の心を揺さぶる。




洸夜と一緒にいるだけで、楽しくて、幸せな気持ちになれる私は、単純でバカなのかな?





たとえそうだとしても、全然いい。





洸夜との時間が、私にとってはなによりも大切だから。