「では、お入りください!」




「え、ここでいいじゃんか。」





写真部に撮ってもらうのなんか、どこでもいいよ。俺は、乃々花とイチャイチャしながら撮りたかった。自撮りで。





「日当たり悪いから、ダメ!」




「えー………。」




だりぃ。




「洸夜、撮ってもらおうよ。自分たちだと、全身撮れなかったし。きっと、綺麗に撮ってくれるよ!」





「……乃々花が望むんなら、別にいいけど。」






俺、乃々花に甘すぎる?いや、彼女の願いはなんでも叶えるのが彼氏の務めだろ。







室内に入ると、準備中の奴らの手が止まった。






全員、乃々花を凝視。






見られた乃々花は驚いて、俺の背に隠れてしまった。





「えっと……紹介しておくけど、俺の彼女の桑野乃々花さん。………乃々花、おいで。」





「う、ん………。」






恐る恐る、俺の隣に来た乃々花。縮こまっちゃってる。かわいい。





今日、全体的にかわいすぎないか?いつもより、かわいさに磨きがかかってる。元々、超絶かわいいけど。






「は、はじめまして……。桑野乃々花です。」






「「「「…………」」」」





少しの間の後————






「おい洸夜!!どういうことだ!!!」




「こんなかわいい彼女がいるなんて聞いてねーぞっ!!」




「めっちゃかわいい!お人形さんみたい!」



「これ、すっぴん!?」




「うらやましいぃ〜〜!」






一気に、うるさくなった。男子は俺に詰め寄り、女子は乃々花を質問攻めに。





「病院で会ったって言っただろ。」




「入院中に出会いがあるとか、どういう世の中だ!!」



「知るか!」







「洸夜くんみたいなカッコいい彼氏、どうやって作れるの?」





「え、なにもしてないです!」




「顔、キレイすぎ!肌もモチモチしてる!」




「あ、ありがとうございます………」







あぁ、乃々花が困りまくってる。






「おいっ!!」





一喝いれたら、静まった。ふぅ……。





「乃々花に質問があるなら、後にしろ。」




「「「はーい………」」」





不服そうに、各自の持ち場に戻っていくクラスメイト。はぁ、ダルかった。





「写真はやく撮って。」




「お、おぅ……」







乃々花が、さっきから沈んでる。……なんでだ?






「ごめんね、洸夜。」




「なにが?」




「……私が来ちゃったせいで、いろいろ迷惑かけちゃって。」





「迷惑なんて、かけてねーよ。」





なんで、そうなったんだよ。むしろ、乃々花は迷惑をかけられた側。なにも、謝る必要ないのに。