【said 洸夜】




乃々花が退院した。病気も完治して、再発の可能性は低い。経過観察のために、2週間に1回だけ通院。





本当に良かった。これで、乃々花と一緒に出かけたりできるっ!!




なんか姉貴も、“今度遊びに誘おっ!”とか言ってたけど。内心、俺が先だしって思ってる。



絶対、俺とのデートが先!!





『これ、私の家!!』




そのメールと一緒に送られてきたのは、見覚えのある白い家。




んーっと、たしか俺の家の近くに、でっかい家があったけど……それが乃々花の家?




思い立ったら、即行動!の俺は、例の白いでっかい家に向かう。その家の前には、さっき乃々花が乗った白い車が停まっていた。





「マジか……」




表札には“Kuwano”。周りの家よりも圧倒的にデカいその家は、白くて豪奢(ごうしゃ)で、美しかった。まさに、あの美形家族が住んでそうだし。





『乃々花の家発見!今、家の前にいるよ。』





送ってすぐ、乃々花が家から走ってきた。





「な、なんで家、わかったの?」




息を切らしながら言う乃々花からして、相当驚いたんだろうな。




「俺の家、ここから5分で着くところ。」





乃々花は、目を見開いた。信じられないっ!とでも言いそうな顔。






「偶然って、すごいね。」





んー、乃々花さん。急にどうした?いや、不思議ちゃんだから、変なのはわかってたけど。






「偶然より、必然だと思うけど。」





俺は、世の中の全てのモノが、意味があると思ってるタイプ。乃々花の病気や、体調もそう。俺のこの性格とか、サッカー好きな事とか全部。




乃々花が病気で入院してて、俺も骨折をしたから、出会って、付き合ってっていう流れになったんだし。乃々花の病気のおかげで、気づけたモノが沢山あるし。






「必然……だといいな。」






そう言って、柔らかく微笑む乃々花は、出会った時と変わらずに美しい。






47億もの人類が生きる中、出会えたことからして、必然なんだよ。それが、良い影響も悪い影響も与える。






人生は、必然の連続であるからこそ、価値があり、かけがえのないモノだと思う。





乃々花の人生にも、俺の人生にも、あった全ての事柄が、必要不可欠なんだ。





何かが変われば、全てが変わる。





運命……なんて、人はよく言う。だけど、それこそ自分の責任放棄だ。






そんな不確かなモノに頼らず、自分の力で、前に進んでいきたい。





乃々花と一緒の人生を、未来を。


自分の道は自分で決める。