「今日は百合子にお土産を持って来たんだよ。はい、どうぞ」

差し出してきたのは小さいケーキの箱。

「有難う。わぁっ!チョコレートケーキ!!」

中を開けてみると…周りにフィルムが貼ってない、チョコレートケーキ。

手作りなのかな?

「手作りなの?」

「マズイか上手いか分からないけど…一応、手作り」

「誰が作ったの?」

「俺……あっ、じゃなくて、妹、妹の樹里(じゅり)」

今、俺から妹に言い直さなかった?

気のせい?

「…今、言い直さなかった?」

「ん?何を?」

気になってしまったのですかさず聞いてしまったが、聞いて欲しくなかったみたいだ。

ありゃりゃ…。

口元は笑ってるけど、目は怒ってるや…。

何だ、コイツ…恐っ!



「い、妹ちゃん、じゅりちゃんって言うんだ。どーゆー字?高校生?」

「樹立の樹に里。高校1年だよ。生意気でやんなるよ…」



お兄ちゃん気取って、溜め息をつきながら言ってきた。

いやいや、アナタも充分、生意気だと思うよ?



「百合子、それより、食べてみて。味は保証しないけど…」

「うん、じゃあ、紅茶入れるね。紅茶は好き?」

「紅茶…」

「うん、紅茶。…それとも、カフェオーレが良い?」

「カフェオーレ!」