幽霊の君と。

1

僕が彼女と出会ったのは、夏が始まったばかりの頃だ。

「・・・暑い・・・」

日差しがジリジリと照りつける。
僕は額に浮かんだ汗を拭いながら、ゆっくりと通学路を歩いた。

僕は如月 令。どこにでもいるような、普通の高校生だ。
しかし、普通の人とは違うところが、一つだけある。
僕には、霊感があるのだ。

「こんな時まで学校か・・・」

僕が公園の前を通り過ぎようとした時。

「・・・え・・・?」

微かに鳥肌が立った。
僕は、近くに例の存在を感じると、少し鳥肌が立つ。
もしかしてと思って周りを見てみると、公園のフェンスのそばに、女の子がたっていた。
セミロングの黒髪の女の子。
僕はしばらくその子を見ていたけど、時間がなかったので、その場を去ろうとした。
その時。

「ねえ」

目の前に、突然さっきの女の子が姿を現した。

「うわっ!」

僕はびっくりして仰け反った。

「もしかして・・・私が見えるの?」

彼女は、そう聞いてきた。

「う・・・うん・・・」

「へえ・・・ 私が見える人に会ったの、初めてかも」

彼女は、ふわふわと浮遊しながら言った。

「はぁ・・・ 僕急いでるんだけど。 学校行かなきゃなんないから、またね」

そう言うと、僕は早歩きで学校に向かった。



「・・・で〜、あるからして・・・」

(はぁ・・・授業つまんないなあ・・・)

僕はぼーっとしながら授業を受けていた。
つまらなさすぎて、僕は窓の外の景色を眺める。
綺麗な青空に、高く昇った太陽。
その太陽を、近くを流れる川が反射して、キラキラと輝いていた。
微かに蝉の鳴き声もする。
夏だなあ・・・
そう思って前を向いた時。

「そんなにぼーっとしてどうしたの?」

「うわっ!」

目の前に今朝会った女の子がいた。
びっくりして、大声を出してしまった。

「如月?どうしたんだ?」

先生が、怪訝そうな顔で聞いてきた。
周りの子の視線も、僕に集中していた。

「えっと・・・ なんでもありません・・・」

僕は咄嗟にそう言った。

「急に声掛けないでよ。びっくりしたじゃんか・・・」

僕は、みんなに聞こえないように小声でそう言った。